日本では高齢化社会の進行により、資産を保有するシニア世代が増えており、不動産相続への関心が高まっています。不動産相続の予定がある方に、トラブルにならないためのポイントをご紹介します。
相続する前に確認しておきたいこと
誰が受け継ぐのか?
故人の不動産を誰が受け継ぐのかは非常に重要なポイントです。相続不動産があっても相続人が決まっていなければ、最終的な財産の所有権が決まりません。故人の遺志により本来の相続人とは異なる人に不動産を残すケースもあり、その場合は遺言書が必要になります。誰も相続する人がいない場合は不動産をどうするのかが問題になります。住宅ローンが終わっていないなどで不動産の借入金がある場合、相続人になる人が相続を拒否するケースも考えられます。不動産相続を拒否された場合の対処方法も知っておくことが必要になります。
分配の割合はどうするのか?
相続財産と相続人が決まれば、遺産の分割割合を決めます。民法で基本的な分割割合は定められています。不動産の状態や家族構成など、それぞれの不動産相続のケースに応じて法定相続人と法定相続分が決められています。不動産相続が発生した場合は、法定相続分の割合に従って遺産を分配することになります。法定相続分とは異なる割合で遺産を分配したい場合は、事前に分割割合を明記した遺言書を残す必要があります。他に相続人同士の話し合いにより互いに了承し、納得すれば、法定相続分と異なる割合で分配することもできます。
相続税を払えるか?
不動産相続の際は相続税が発生することに注意する必要があります。近年、相続税の基礎控除が大きく引き下げられたことで、相続税を支払わなければならないケースが増えています。例を挙げると都心に土地や住宅を所有していると、不動産の評価額が高額になり、予想外に高額な相続税をいきなり課税される場合があります。こうしたケースでは相続税が支払えずに税務署から督促され、他に方法がないため、土地や建物を売却しなければならなくなることもあります。このようなトラブルを避けるために、相続税対策をしっかり立てておくことが重要です。
空き家を売却した方がいい理由について
相続した空き家をそのままにしておくとさまざまなリスクが発生します。空き家対策特別措置法により、危険な状態で放置されている空き家は強制的な措置が取られるようになりました。所有する空き家は売却した方がさまざまなリスクが回避できることをご紹介します。
高い固定資産税等を払わなくて済む
誰も住んでいない空き家も不動産のため、固定資産税・都市計画税の支払いが必要です。相続することになれば、相続税も発生し、土地の評価によっては高額になることもあります。また、空き家対策特別措置法により特定空き家に認定され、勧告を受けると固定資産税・都市計画税の住宅用地の特例対象外となり、税金が約5倍にアップします。特定空き家とは倒壊の危険性がある、適切な管理が行われず、景観を損なうなどが理由となり、近所の住人の苦情で認定される可能性もあります。空き家を売却すれば高額な固定資産税の課税を避けることができます。
維持費がかからなくなる
家は人が住まなくなると劣化のスピードが早まります。特に木造建築の場合はシロアリの被害などにより、建物の劣化が進みます。老朽化した屋根瓦やタイルが剥がれ落ち、通行人にケガをさせたら、損害賠償を請求されることになります。庭があれば雑草が生い茂り、庭木が隣家の敷地を浸食してしまうこともあります。近所から苦情が来ないようにするには、定期的に除草したり、庭木の剪定作業を行なったりすることが必要です。空き家の管理を業者に委託すると一定の経費がかかりますが、空き家を売却すれば維持管理費が不要になります。
解体費用の請求がなくなる
空き家対策特別措置法が施行されてから、築年数の古い空き家は行政代執行により、強制的に解体されるケースが増えています。放置すると危険な特定空き家の認定を受けると、行政から所有者に解体するか、維持管理するか適切な処置を行うように指導、助言があります。行政の指導に従わないと勧告を受け、固定資産税等の特例が適用されなくなり、さらに放置すると解体の命令が下ります。命令に従わないと最大50万円の罰金が課せられ、行政代執行で強制的に解体されるとその費用を請求されます。空き家を売却すれば解体費用の負担はありません。
不動産を放置することの4つのデメリット
使用しない不動産を放置するとさまざまなリスクがあり、主なデメリットは以下の4つになります。